「やりたいこと」が見つからない人ほど、“動きながら探す”ほうが早い

やりたいことを考えても見つからないのは、頭の中で完結しているからです。動きながら考えることで、初めて“実感としての興味”が見えてきます。行動してみることで、自分の得意不得意、人との相性、熱中できる瞬間などを体感的に理解できます。完璧な答えを探すよりも、小さな行動を積み重ねて「これなら続けられる」と思えるものを探すことが大切です。やりたいことは、考えるものではなく、動きながら見つけるものです。

 


「やりたいことが分からない」「自分に向いていることが何か分からない」。
社会人になってから、こう感じたことがある人は多いのではないでしょうか。

一方で、子どもの頃から「これをやりたい」と言い続け、そのまま専門の道に進む人もいます。
そういう人は、研究者や職人タイプに多く、
幼い頃から“興味の軸”が明確に定まっているという特徴を持ちます。
ですが、実際にはそういう人の方が少数派です。

多くの人は、社会に出てから試行錯誤しながら方向性を見つけていきます。
「やりたいこと」は静かに考えて出てくるものではなく、
動きながら見つけていくものです。

本記事では、「やりたいことが分からない」と感じている人に向けて、
その探し方を“思考”ではなく“行動”の視点から整理します。

 

「やりたいこと」は探して見つかるものではない


「やりたいことを見つける」――この言葉はよく聞きますが、
実際には“見つけようとする”ほど見つからないものです。

その理由は、「やりたいこと」は過去の延長線上にあるとは限らないからです。
経験したことのない世界に興味を持つのは難しく、
頭の中だけで考えても、“選択肢の外側”には手が届きません。

つまり、考えるより先に動くことが必要です。
行動することで初めて、「これは楽しい」「これは違う」といった
自分の“感覚的なフィードバック”が得られます。

 

「やりたいこと」は“見つめ直すタイミング”で変わる


もう一つの誤解は、「やりたいことは一度決めたら変わらない」という考え方です。
しかし、人の価値観や環境は常に変化します。
10代で憧れていた仕事が、20代、30代では違って見えることもあります。

「今の自分にとっての“やりたいこと”」は、
その時点の価値観と経験の総和から生まれます。

したがって、自分を見つめ直すタイミングを
“転職”や“大きな節目”のときだけに限定しないほうがいい。
日常の中でふと感じる「面白い」「気になる」を拾い上げる習慣が、
“次のステップ”のヒントになります。

動きながら感じ取る小さな違和感や好奇心こそ、
「やりたいこと」を見つけるための一番の材料なのです。

 

ステップ1: 小さく試す


「やりたいことを探す」と聞くと、
多くの人は“人生の方向性を決めるような大きな決断”をイメージします。
しかし、最初の一歩はもっと小さくて構いません。

気になる本を1冊読んでみる、イベントに参加してみる、
興味のある分野の人に話を聞いてみる——。
そうした小さな実験が、自分の中の興味の輪郭を少しずつ浮かび上がらせます。

重要なのは、「これは違うな」と思ってもそれを否定しないこと。
違うと分かることもまた、行動の成果です。
動けば必ず、次に選ぶ方向の精度が上がっていきます。

 

ステップ2: 人の“好き”に触れる


自分がやりたいことが分からないときは、
他人の“好き”を観察してみるのも有効です。

なぜその人はその仕事に熱中しているのか?
どんな瞬間に楽しそうにしているのか?
そうした問いを立てて人を観察すると、
自分の「価値観」や「理想の働き方」が少しずつ見えてきます。

他人の情熱は、自分の心を映す鏡です。
「この人のこういう姿勢がいいな」と感じた瞬間に、
それはあなたの中の“やりたい方向”のヒントになっています。

 

ステップ3: 違和感を無視しない


やりたいことを見つけるプロセスでは、
「なんとなく気になる」「ちょっと引っかかる」といった違和感が重要です。

人は、自分の興味の芽を“合理的な理由”でつぶしてしまいがちです。
「今さら」「自分には向いていない」「現実的じゃない」など、
頭の中で否定の言葉が浮かんだ瞬間に、その芽を閉ざしてしまう。

けれども、その違和感こそが、
まだ言語化できていない“興味の種”であることが多いのです。
気になるなら、一歩だけ踏み出してみる。
その小さな行動が、やがて自分の「やりたい」に形を与えていきます。

 

「やりたいことが分からない」と悩むのは、
考えすぎて“止まっている”状態に近いです。
やりたいことは、静かに考えるよりも、
動きながら探す方がずっと早く見つかる。

最初から明確な目標を持っている人は、確かにいます。
しかし、それは一部の例外であり、
多くの人は“動きながら見つけていく過程”を通して、
自分の方向性をつかんでいくものです。
やりたいことは、探すものではなく、
行動の中で“気づいていくもの”です。

動けば、世界の見え方が変わる。
見え方が変われば、やりたいことは自然と浮かび上がります。
そして、その一歩を踏み出した瞬間から、
あなたの“やりたいこと探し”はもう始まっているのです。

 

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