💡要約
「早く動くこと」が評価されることは多いですが、本当に大切なのは“意味のあるスピード”です。目的を見失ったまま急いでも、成果にはつながりません。必要なのは、何を優先すべきかを見極める判断軸です。現場では「早さ」と「正確さ」のバランスが常に求められます。焦らずに考える時間を取ることも、結果的には最短ルートになることがあります。スピードよりも“方向性の正確さ”を重視することが、成果を最大化する鍵です。
はじめに
「スピードが命」と言われる時代です。
どの業界でも、どれだけ早く動けるかが競争力になる。
たしかに、スピードはビジネスの大きな武器です。
しかし、“速さ”そのものが目的になっている現場を、私は何度も見てきました。
早く出すことが正義。誰よりも先に形にすることが評価。
でも、それが本当に意味のあるスピードだったかというと、疑問が残ることも多い。
本来のスピードとは、ただの「速さ」ではなく、“意味のある速さ”であるべきです。
それは「ゴールに近づくためのスピード」であり、焦って動くこととは違います。
仕事が早いだけでは成果にならない。
大切なのは、正確で、意図のある速さ。
そのためには、「一呼吸おく時間」を恐れないことが重要です。
考える時間は、止まる時間ではなく、前に進むための“助走”だからです。
課題・問題点
仕様がない「早いものづくり」は二度手間になりがち
ベンチャーの開発現場では、「とにかく早く形にする」ことが求められる場面が多々あります。
試作を早く出すことで、顧客やチームからフィードバックを得られる。
それ自体は悪いことではありません。
しかし、“なぜ作るのか”が整理されていないまま動くと、結局は二度手間になる。
ハードウェア開発でよくあるのが、「とりあえず作ってから考える」パターンです。
作り直し、再発注、検証のやり直し……そのスピードが、むしろ遅れにつながる。
スピードとは“行動量”ではなく、“目的への最短距離”です。
方向がずれていれば、どれだけ速く走っても遠回り。
だからこそ、「一度立ち止まって考える勇気」を持つことが、結果的には最短ルートになります。
納得感のある判断でスピードが生まれる
チームで動くプロジェクトほど、スピードを上げようとするあまり「なぜそうするのか」の共有が抜けがちです。
指示を出す側も、受ける側も納得できていないまま動くと、途中で迷いやすくなり、後戻りが増える。
つまり、スピードの本質は“理解の共有”にあります。
「なんでそれをやるのか」「目的は何か」が全員の中で一致していれば、意思決定は早くなり、判断に迷いがなくなる。
納得感のあるスピードは、チーム全体の質を高めます。
逆に、納得のないスピードは、誰かのモチベーションを削り、結果的に遅れを生む。
だから私は、「説明する時間を惜しまないことが、最も速い道だ」と考えています。
ベンチャーで「長考」にした時の機会損失
もちろん、慎重すぎるのも問題です。
ベンチャーのように変化の早い環境では、「考えすぎて動けない」ことが最大のリスクになります。
私自身、これまでの現場で何度も“長考の罠”にハマりました。
リスクを恐れて検証を先送りにした結果、チャンスを逃したり、競合に先を越されたり。
つまり、考えすぎもまた、スピードを失う原因です。
重要なのは、「考える時間」と「動く時間」のバランスをとること。
ベンチャーでは“完璧”より“仮決め”が基本です。
仮でいいから動き、見えた結果で修正する。
それが、現場で生きる判断軸です。
実践・ステップ
ステップ1: 「考える時間」をスケジュールに組み込む
多くの人が「考える時間」を“余裕があったら取るもの”と考えがちですが、実際には意識的に確保しなければ生まれません。
私はプロジェクト管理の中に、あえて「設計検討」「判断レビュー」といった時間を明示的に組み込んでいます。
この時間は“動かない時間”ではなく、“精度を上げる時間”です。
10分の考察が、10時間の手戻りを防ぐこともある。
短期的なスピードを犠牲にしても、最終的なスピードは確実に上がります。
ステップ2: 決断の“基準”を明確にする
スピードが迷子になる理由の多くは、「判断基準が曖昧だから」です。
「どこまでやったらOKなのか」「何を優先するのか」を明確にしておくことで、チーム全体が迷わず動けます。
私は現場で、判断基準を3つに整理していました。
・安全性 – ユーザー・設備・データにリスクがないか
・再現性 – 同じ手順で誰でもできるか
・コスト効率 – 工数・金額に対してリターンがあるか
この3つを満たすかどうかで判断すれば、悩む時間はぐっと減ります。
つまり、スピードは「基準の明確さ」から生まれるのです。
ステップ3: “見える化”で全員の判断スピードを上げる
現場で最もスピードを失うのは、「誰がどこまでやっているかわからない」状態です。
だからこそ、タスク・進捗・課題を常に“見える化”することが重要です。
私はGoogleスプレッドシートやNotionを使い、判断待ちのタスクを一覧化していました。
誰がボールを持っているのか、どこで止まっているのかが見えると、無駄な確認が減り、全体のスピードが上がる。
“速さ”を上げるための最短ルートは、「見える状態を保つこと」。
透明性のある現場ほど、判断も早く、修正も容易です。
まとめ
「スピードがある人」は多いですが、「意味のあるスピードを出せる人」は少ない。
ただ早く動くことよりも、なぜそのスピードが必要なのかを考えることが、結果的にチーム全体の成果を高めます。
意味あるスピードとは、
・目的が共有されていること
・判断基準が明確であること
・納得感を持って進められること
この3つがそろった時に初めて実現します。
ベンチャーの現場で求められるのは、「とりあえず動く速さ」ではなく、「意味ある動きの速さ」。
その違いを理解して行動できる人こそ、チームの信頼を集め、プロジェクトを前進させるリーダーになれる。
焦るより、考える。
急ぐより、理解する。
止まることを恐れず、“意味のあるスピード”で動こう。
それが、現場で本当に学んだ判断軸です。

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